劇団四季のライオンキングのマスクにある工夫

日本を代表する演劇集団「劇団四季」の創立は1953年(昭和28年)のこと。その劇団四季が公演しているミュージカルのライオンキングは10,000回を超える日本最長ロングランを更新中である。

ライオンのマスクはかぶった後でも動かせるように、コントローラーで俳優が操作できるようになっている。このマスクの素材には秘密がある。パッと見は木に見えるマスクだが、F1のボディと同じ素材カーボングラファイト製でできている。丈夫な上に軽く、マスクの重さは1kg未満となっている。

ライオンキングはライオンの王ムファサの息子シンバが王になるまでを描いた物語。ストーリーの盛り上がりにかかせないのが、王の座を奪おうとする敵役のスカーの存在。そんなスカーのマスクは片目に入った傷が印象的だが、敵役に見えるのは傷だけでなく、観客に敵だと刷り込む意外な工夫がある。

それは日本の伝統「生け花」に通じるものがあり、正義を貫くムファサ王のマスクは左右対称をしているのに対し、敵役スカーのマスクは表情や骨格に歪みがあり、アシンメトリー(左右非対称)に作られている。対人魅力という研究があり、非対称の人は本能的に嫌われるという結果がある。自然界は基本的に対称で、鳥や蝶は綺麗な対称形をしている。生け花では、非対称のほうが大胆で躍動感があり、迫力を感じるという。マスクを非対称にすることで、敵役であることとその迫力を伝え、観客を魅了する効果がある。

2016/10/1

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カテゴリー「歴史・文化

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