折り鶴の歴史は安土桃山時代までさかのぼる

折り鶴とは、紙を折って鶴に似せた形に作るもの。現在では正方形の折り紙で作られる最も一般的な作品の一つである。

最も古い折り鶴は、日本刀の鞘に差し込む小刀の柄の部分「小柄(こづか)」に描かれた金の折り鶴とされている。この小柄は、豊臣秀吉に仕えた装剣金工・後藤栄乗(1577~1617年)の作で、安土桃山時代後期の1590年頃に作られたとされている。そのため、400年以上前には折り鶴がすでに存在していたと考えられている。

江戸時代中期の寺子屋の様子が描かれた絵には、男の子が折り鶴を折っている姿が描かれている。それまで武士社会のものだった折り鶴が多くの人に伝わったのは、紙を比較的自由に使うことができた寺子屋などからであった。また、女性の着物の絵柄にもよく描かれていた。

折り紙の折り方を紹介した現存する最古の遊戯折り紙本は、1797年に京都で出版された『秘伝 千羽鶴折形』で、1枚の紙から折る鶴のつなぎ折り(連鶴)が49通りも載っている。

折り紙は遊びだけのものではなく、息を吹き込むことで厄や災いを折り紙に吹き込み移して水に流していたとも言われている。現在では、特に千羽鶴を、病気快癒・長寿の願いを込めて入院患者へ贈る習慣がある。また、広島市への原子爆弾投下で被爆し、原爆症の白血病で死亡した佐々木禎子(1943~1955年)が自らの延命を祈って千羽鶴を作ったことから、千羽鶴は平和のシンボルにもなっている。

2017/6/17

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー「歴史・文化

関連記事