年末になると「交響曲第九番」が演奏される理由

年末になるとよく耳にするベートーベンの「交響曲第九番」(通称:第九)は合唱が有名であるが、それまで楽器だけであった交響曲に初めて歌を取り入れた曲である。

年末に「第九」が定番となっているのは世界中で日本だけ。戦後直後の日本は貧しく、特に音楽をやっている人たちは年越しも大変であった。そんな中、安心して年を越すことはできないかと考えた結果、年末にコンサートを行い、たくさんのお客さんに入ってもらうのがよいという結論に達した。

「第九」を演奏して音楽科の学生たちに声をかければ、合唱は彼らが無料でやってくれる。素敵な楽団であれば一緒に演奏することは名誉であり、学生たちは来てくれる。たくさんの合唱団が来れば、その家族や親戚、友人がたくさん集まって、チケットはその人たちを中心に簡単に売ることができる。新年を迎えるための資金を得るのに大合唱の「第九」という曲が都合がよかったのである。

1947年(昭和22年)、日本交響楽団(現:NHK交響楽団)が日比谷公会堂において、12月20・21日に2日連続の「第九コンサート」を行い、絶賛された。戦後の当時、苦労していた日本の人たちに前向きなイメージの「第九」のメロディが愛され、「第九」は年末の風物詩となっていった。

2017/7/6

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カテゴリー「歴史・文化

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