江戸スキャンダル:悪賢い手口で大金を奪う愛人集団

現在、出会い系サイトや結婚詐欺など人の心に入り込み、お金をだまし取る手口があとを絶たないが、江戸時代にもさまざまな手段を使ってお金を騙し取っていた怖い女がいた。

江戸時代中期の1760~1770年代、江戸で単身赴任する男たちは暇をみつけて遊郭へと通ったのだが、身分の高い武士や裕福な商人になると仲介人に女を紹介してもらい、気に入った美女にお金を払い、愛人として自分の傍に置いていた。愛人契約における支度金は一説によると200両で、現在のお金で1,400万円にも上ったという。

美しい女性は上級武士や金持ち商人に愛人として囲われるのが珍しくない時代であったが、愛人契約を結んでお金を騙し取る美女愛人集団がいた。しかも、愛人契約の際に多額の契約金を貰っておきながら、男からの契約解消でさらに手切れ金までせしめていた。

その愛人集団がとった悪賢い手口が、わざと寝小便をすることであった。この悪巧みは『楓軒偶記』(ふうけんぐうき)という書物に書かれている実話である。毎日のように寝小便をすることで、愛してはいるものの寝小便癖の悪さに耐えかねた男は自ら契約解消を提案した。つまり、わざと寝小便をすることで相手のほうから縁を切らせるよう仕向け、手切れ金までせしめたのだ。そんな彼女たちは「小便組」と呼ばれ、同じ手口で多くの武士や金持ちを騙してお金を手に入れていた。

しかし、そんな美女の悪巧みもそう長くは続かなかった。愛人を心から愛する男の中には本気で心配して医者へ相談する者もいた。東洋医学が中心の江戸時代、寝小便を治すために医者は大きなもぐさを使って灸を据えた。寝小便に効果があるものは特に熱く、苦痛を伴ったといわれ、その熱さと痛みを二度と味わいたくないと、それ以来わざと小便をもらす手口は無くなったという。

2017/9/3

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カテゴリー「歴史・文化

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