お洒落な奈良監獄は治外法権の撤廃に貢献した

旧奈良監獄(奈良少年刑務所)は1908年(明治41年)に造られた西洋建築の監獄で、定員696名、2017年(平成29年)3月まで26歳未満の初犯の受刑者を収容していた。

ロマネスク調様式の表門(正門)
旧奈良監獄(正門)
庁舎(本館)
旧奈良監獄(本館)
画像元Wikipedia

全景
旧奈良監獄(全景)
画像元Twitter

奈良監獄をお洒落にすることで日本の犯罪が激減した。それまでの監獄では外国人の犯罪を取り締まれなかった。

明治維新後、新政府にとって幕末に欧米諸国と結んだ不平等条約の解消が急務で、その中でも特に治外法権の撤廃が最大の課題だった。日本で罪を犯した外国人を国内で取り締まれない治外法権。その治外法権を撤廃するため欧米諸国に交渉したが、ネックになったのは設備も環境も水準が低かった日本の監獄だった。

当時の日本の監獄は木造が主流で、冬は凍える寒さ、火事が起きれば受刑者が危険に晒されるなど、受刑者の人権を考えていない造りだった。そこで、最新の西洋の造りで奈良監獄が建てられた。奈良監獄は赤レンガで頑丈に造られ、冬は暖かく、大きな窓で明るく、風通しも良い、受刑者の生活を配慮した造りだった。

お洒落な奈良監獄が建てられたのは、治外法権の撤廃のために日本が「法治国家」であることをアピールするためだった。もし、綺麗な奈良監獄が建てられず、治外法権を撤廃できなければ、日本の治安が危ぶまれていた。

そんな旧奈良監獄は、2020年に日本初の監獄ホテルとしてオープン予定である。中の雰囲気はそのままに宿泊施設へとリノベーションされ、奈良の大仏がある東大寺まで車で5分の好立地ホテルとなる。

2017/10/17

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カテゴリー「歴史・文化

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