世界情勢の悪化で天気予報の精度が低下する

現在、北朝鮮の弾道ミサイル発射や各地で発生するテロ事件など世界情勢が大きく揺れ動いている。世界情勢が悪くなると天気予報が当たらなくなるという。

天気予報
天気予報
画像元Yahoo!天気

世界情勢と天気予報は一見関係ないようにも思えるが実はとても関係がある。それは毎日世界800ヵ所で同時に行われている気象観測方法が関係している。

そもそも天気を予想するには、過去の統計データはもちろん、その日の大気の状態を立体的に知ることが重要となる。それに最も適しているのが、日本の気象庁でも何十年も前から行っている「ラジオゾンデ」という気象観測器を使った方法である。

ラジオゾンデとは、気圧・気温・湿度・風向・風速などの気象要素を測定するセンサーとGPSを搭載した気象観測器。観測方法は、ラジオゾンデを空気より軽い水素の入ったゴム製の気球にくくりつけて手動で上空へ放つというもの。地上から高度11kmまでの対流圏と呼ばれる層を抜け、30分で高度およそ30kmの成層圏に到達する。その間、気象データをリアルタイムで気象台へ送信する。この各高度のデータを元に天気を予測している。

ラジオゾンデ
ラジオゾンデ
画像元JAMSTEC

実はこのラジオゾンデによる観測方法が世界情勢に大きく左右されてしまう。ラジオゾンデは同じ時刻に1日2回、日本国内16ヵ所、世界約800ヵ所で同時に上げられていて、地球全体の大気の状態を同時に観測し、その観測データを世界中で交換しているため正確な天気予報ができる。

戦争で交戦状態になった場合、なるべく自国の上空のデータを他国に教えないようにする。日本でも第二次世界大戦中には気象情報は軍事情報であるということで天気予報がなかった。戦争が起こると軍事機密情報として自国のラジオゾンデのデータを開示しない国も出てくる。実際、1991年(平成3年)の湾岸戦争の時には複数の国から観測データが届かず、天気の予測に難航したという。

日本の天気は主に西からの大気に影響を受けるため、例えば、中国の情勢が悪化して観測データが届かない場合には日本の天気予報の精度が下がってしまう。

ちなみに、ラジオゾンデが付いた風船は上空で破裂するため、ラジオゾンデはそのまま地上に落下する。もし拾った場合にはラジオゾンデの裏に記載された気象庁の連絡先に連絡すると回収に来る。

2017/12/2

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カテゴリー「生活・科学

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