平安時代の歌人・小野小町(おの の こまち)の忌日。
奈良市今市町にある小野小町ゆかりの帯解寺(おびとけでら)では、月遅れの4月に「小野小町忌」として法要が営まれる。
この日が忌日とされるが、生没年は明らかではない。平安時代前期9世紀頃の女流歌人。六歌仙、三十六歌仙、女房三十六歌仙の一人。
『古今集』以下の勅撰集に60首余入集、家集に『三十六人集』の一つ『小町集』があるが、確実に小野小町の歌といえるものは少い。哀感・諦念のこもった、不毛の愛を詠んだ歌に特色がある。平安時代中期から、その歌才・容貌・老後などについて様々な伝説が発生し、「小町物」と呼ばれる謡曲に集大成される。
小野小町は絶世の美女として「七小町」など数々の逸話があり、後世に能や浄瑠璃などの題材としても使われる。だが、当時の小野小町像とされる絵や彫像は現存せず、後世に描かれた絵でも後姿が大半を占め、素顔が描かれていないことが多い。
生誕地については、伝承によると現在の秋田県湯沢市小野といわれており、晩年も同地で過ごしたとする地域の言い伝えが残っている。ただし、確証はなく、山形県酒田市や京都市山科区、福島県小野町など数多くの異説がある。
また、小野小町の物とされる墓も、全国に点在しており、どの墓が本物であるかは分かっていない。平安時代位までは貴族も風葬が一般的であり(皇族等は別として)、墓自体がない可能性も示唆される。