あらゆる動物の中で、人間は体の大きさの割に脳が重い。そこから脳が重いほうが頭がいいと言われるが、人間の中でも同じことが言えるのだろうか。
人間の脳の重さは平均1200~1500グラム。男性と女性では男性のほうが重く、成人男性は1350~1500グラム、女性は1200~1250グラム。これは体重の約2%にあたる。ちなみに、生まれた時は性別による差は無く、男女とも370~400グラム。また、人種により多少の大きさの差がある。脳の重さだけなら、ゾウは4000グラム、クジラは7000グラムと人間よりも重い。
人間の性別の差・人種の差を除外した同質な人類集団の中で、脳の大きさは知能指数と相関係数0.4程度の相関があることが知られている。脳が大きいほうが、頭がいいということになる。しかし、頭の重さだけで説明できないこともある。夏目漱石の場合は1425グラムと平均的だ。物理学者アルベルト・アインシュタインの脳は1230グラムと軽い。フランスの小説家アナトール・フランスの脳は1017グラムしかなかったという。脳が重くない天才がたくさんいるのだ。
では、頭のいい人と普通の人はどこが違うのだろうか。これは、脳の神経細胞をつなぐ配線によるのではないかと考えられている。脳の神経細胞のつなぎ目は大脳全体で数兆個あると言われ、つながり方はさまざまで複雑だ。頭のいい人は、この配線がうまくつながっているため、効率的に物事を処理できたり、他の人が思いつかない発想ができるのではないかという。
2016/10/4
カテゴリー「生き物」