江戸時代の怪談話の幽霊は庶民が作ったヒーロー

江戸時代、怪談話に出てくる幽霊は庶民のヒーローで、怪談は悪行への対抗手段だった。

江戸時代には江戸番町が舞台の『番町皿屋敷』や播州姫路が舞台の『播州皿屋敷』など多くの怪談話が創作された。皿屋敷は、お菊の亡霊が井戸で夜な夜な「いちまーい、にまーい... 」と皿を数える情景が周知となっている怪談話の総称である。

皿やしき於菊乃霊
皿やしき於菊乃霊
画像元Wikipedia

この時代には、位の高い武士たちが女中に手を付け、口封じのために手打ちにする(斬り殺す)という凄惨な事件が日常的に起こっていた。殺された人はとても悔しい思いをしたが、理不尽な権力に対して歯向かうことが出来なかった。

その鬱憤を晴らすために、講談師などの庶民は怪談で幽霊という物を作り、その幽霊が自分たちの力の及ばない権力に対して向かって行くという話を作った。そのため、庶民が作ったヒーローは幽霊であり、怪談話は庶民が好んで話していた。怪談が日本中に広がると幽霊への恐怖から凄惨な女中殺しは減ったと言われている。

2017/9/15

このエントリーをはてなブックマークに追加

カテゴリー「歴史・文化

関連記事