詩人・評論家の吉本隆明(よしもと たかあき)の2012年(平成24年)の忌日。
この日には吉本隆明を偲ぶ会が開催される。「横超(おうちょう)」とは仏語で、親鸞聖人が独特の使い方をした言葉である。阿弥陀仏の本願の力によって迷いの世界を跳び越えて、浄土に往生すること。浄土真宗の説く、他力浄土門の中の絶対他力の教えをいう。
1924年(大正13年)11月25日に東京市月島(現:東京都中央区月島)で生まれる。東京工業大学電気化学科を卒業。長女は漫画家のハルノ宵子、次女は小説家の吉本ばなな。
1952年(昭和27年)に詩集『固有時との対話』を自家版で刊行。以後、詩集『転位のための十編』(1953年)、評論『文学者の戦争責任』(共著・1956年)、『高村光太郎』(1966年)などで既成左翼を超える文学・政治思想を確立する。
1960年(昭和35年)に日米安全保障条約の改定に反対する安保闘争への関与、言語を「表現」とみる言語論を導入した『言語にとって美とは何か』(1965年)、国家の共同性の問題を扱った『共同幻想論』(1968年)、『心的現象論序説』(1971年)など数々の評論を発表する。
2003年(平成15年)に『夏目漱石を読む』で小林秀雄賞を、『吉本隆明全詩集』で藤村記念歴程賞を受賞。2009年(平成21年)に第19回宮沢賢治賞を受賞。肺炎のため87歳で死去。
古典文学論に『源実朝』(1971年)、『初期歌謡論』(1977年)、宗教論に『最後の親鸞』(1981年)などがある。他に『芸術的抵抗と挫折』(1959年)、『「反核」異論』(1982年)、『マス・イメージ論』(1984年)など、多数の著作があり、著作集がある。