1990年(平成2年)の国際ロマ連盟の総会で制定。1971年(昭和46年)のこの日、世界各地のロマがロンドンに集まり、第1回「ロマ国際会議」が開催された。「ジプシー」「ツィゴイナー」などの人種差別的な呼称のすべてを否定し、「今日から我々はロマである」と宣言した。ヨーロッパの移動型民族であるロマに関する問題について啓発し、ロマの文化を記念する日。
「ロマ(Roma)」は、ヨーロッパで生活している移動型民族を指す「ジプシー(Gypsy)」と呼ばれてきた集団のうち、主に北インド・パキスタンに起源を持つロマニ系に由来し中東ヨーロッパに居住する移動型民族のことである。音楽を得意とし、フラメンコの原型とも言われる独自の音楽、踊りの文化を持つ。ロマには独特の神秘主義的な風習があり、他のヨーロッパ人と相容れない生活習慣を持つため、何百年もの間、差別的な扱いを受け続けてきた。
例えばドイツにおいては、ナチス党によりロマを「劣等民族」と見なす法律が1935年(昭和10年)に施行され、選挙権の剥奪、非ロマとの結婚禁止、商売の禁止、学校入学の禁止、ドイツ国内での移動禁止などが決められた。第二次世界大戦によりドイツの占領地域が広がると、ロマはユダヤ人のホロコーストと同様に虐殺の対象とされ、戦争中に約50万人のロマが殺害されたとされる。また、ドイツ政府による被害にともなう戦後補償について、ロマはユダヤ人より不利な扱いを受けている。