1955年(昭和30年)に財団法人「日本のローマ字社」(Nippon-no-Rômazi-Sya;NRS)が制定。
日本式ローマ字つづりの発案者で、ローマ字国字論を展開した地球物理学者・田中舘愛橘(たなかだて あいきつ、1856~1952年)の1952年(昭和27年)5月21日の命日にちなみ、切りのよい20日を記念日とした。また、社団法人「日本のローマ字会」が1922年(大正11年)のこの日に創設されたことを記念したもの。
単に「ローマ字」(the Roman alphabet)といった場合、本来はラテン文字(ラテンアルファベット)のことを指す。「ローマ」とは、古代ローマ帝国において用いられていた文字であることに由来する。
ただし、現在の日本では、日本語をラテン文字で表記する方法、またはラテン文字で表記された日本語(ローマ字つづりの日本語)のことを指すのが一般的である。この用法に限っては英語でも「romaji」という。
ローマ字表記にはヘボン式と日本式の2種類があり、例えば「すし」は、ヘボン式で「sushi」、日本式で「susi」となる。ヘボン式の名称は、ヘボン式ローマ字を考案したアメリカ人医師のジェームス・カーティス・ヘボン(James Curtis Hepburn、1815~1911年)の名前に由来する。
1885年(明治18年)、田中舘愛橘は英語の発音に準拠したヘボン式ローマ字の表記法を改めて、五十音図に基づいた日本式ローマ字を考案した。しかし、ヘボン式と日本式の支持者が対立し、混乱を招いたため、ローマ字の統一が必要となった。
1937年(昭和12年)に公的なローマ字法が内閣訓令第3号として公布された。これが訓令式ローマ字で、1937年版の訓令式ローマ字はヘボン式を排除し、田中が考案した日本式に準拠したものであった。
しかし、第二次大戦後、連合国軍最高司令部(GHQ)によりヘボン式による表記が指示されたこともあり、再び混乱が生じた。
1954年(昭和29年)に内閣告示第1号として改めて公的なローマ字法が公布された。新たな訓令式ローマ字は、日本式に準拠した1937年版の訓令式ローマ字を基礎としたものであったが、1954年版は「国際的関係その他従来の慣例をにわかに改めがたい事情にある場合」に制限しながらも、ヘボン式の使用も認めるものとなった。
現在、日本において標準として公式に認められているローマ字表記は、日本式を基礎とした1954年版の訓令式ローマ字である。しかし、外務省発行のパスポートの名前・本籍地(都道府県)の表記、総務省の市区町村の表記、国土交通省の道路標識・地図・駅名の表記など、ヘボン式ローマ字が多用されているのが現状である。
元プロ野球選手の新庄剛志選手は、1989年(平成元年)秋のドラフト会議にて、阪神タイガースから5位指名を受けて入団した。阪神時代のユニフォームの背番号の上には、「SHINJYO」と表記されていた。しかし、これはヘボン式なら「SHINJO」、日本式なら「SINZYO」であり、ローマ字表記としては間違いであった。
2001年(平成13年)にメジャーリーグに入団して以降、「SHINJO」に修正された。
2004年(平成16年)からの北海道日本ハムファイターズ時代の登録名は「SHINJO」であり、表記法をイニシャル以外でのアルファベットとしたのは日本プロ野球において初めてであった。