「七夕(たなばた)」は、織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)が天の川(あまのがわ)を渡って年に一度だけ会うことができるという中国の伝説に由来する日である。
この伝説が奈良時代に日本に伝わり、日本に元々あった七夕信仰と結びついて年中行事としての「七夕」へと発展した。織姫星(織女星:しょくじょせい)はこと座の1等星ベガ、彦星(牽牛星:けんぎゅうせい)はわし座の1等星アルタイルである。なお、この二つの星に、はくちょう座の1等星デネブを加えた三つの星を結ぶと大きな三角形となり、「夏の大三角」と呼ばれる。
七夕の起源は、日本古来の豊作を祖霊に祈る祭(お盆)に、中国から伝来した女性が針仕事の上達を願う乞巧奠や佛教の盂蘭盆会(お盆)などが習合したものと考えられている。古くは「七夕」を「棚機」や「棚幡」とも書いたが、現在でもお盆行事の一部でもあり、笹は精霊(しょうりょう:祖先の霊)が宿る依代(よりしろ)である。短冊(たんざく)などを笹に飾る風習は、江戸時代から始まったもので、日本以外では見られない。
七夕は「星祭り(ほしまつり)」ともいう。この日7月7日または月遅れの8月7日を中心として、「七夕祭り」が日本各地で開催される。商店街などのイベントとしても実施され、笹飾りをはじめとした七夕飾りが通りに並ぶ。
特に北海道では月遅れの8月7日に七夕の行事が実施される地域が多い。そんな北海道には「ローソクもらい」や「ローソク一本」と呼ばれる風習がある。子どもたちがはやし唄を歌いながら近所の家を回り、ローソクやお菓子をもらうという行事である。
その他、宮城県の仙台では月遅れの8月7日を中日として、8月6日から8月8日の3日間にわたり「仙台七夕まつり」が開催される。仙台七夕まつりは東北三大祭りの一つにも数えられる。「たなばたさん」とも呼ばれ、伊達政宗公の時代から続く歴史あるお祭りである。
また、七夕は「五節句」の一つにも数えられる。五節句とは、1月7日の「人日(じんじつ)」・3月3日の「上巳(じょうし)」・5月5日の「端午(たんご)」・7月7日の「七夕(しちせき)」・9月9日の「重陽(ちょうよう)」の五つの節句のことである。