「鮗」「鰶」「鯯」「鱅」(このしろ)の名前の由来

コノシロは、ニシン目ニシン科に属する魚。東アジアの内湾や河口の汽水域に生息する魚で、食用に漁獲される。成長するにつれ名前が変わる出世魚で、10cmほどの若魚が「コハダ」(小鰭)と呼ばれ、酢〆したものが寿司種として珍重される。

「コノシロ」は「子のしろ」の意味。殺されかけた子供を助けるために、子供の代わりに焼くと臭いがきついコノシロを棺に入れて火葬したという伝承に由来する。他にも、コノシロは飯の代わりになるほど大量に獲れたことから、「」と「しろ」で「飯代魚このしろ」となったという説もある。

コノシロの魚へんの漢字表記は「鮗」「鰶」「鯯」「鱅」の4字ある。魚へんにつくり「冬」の「鮗」は、冬に獲れることに由来する字。江戸時代、コノシロは狐の好物で、狐の神であるお稲荷さんにコノシロを供えて祭る習慣があった。この古い信仰から魚へんにつくり「祭」の「鰶」が当てられた。魚へんにつくり「制」の「鯯」は、『日本書紀』(720年)に見えるくらい古い字で、「鯯魚」をコノシロと読み、人名に使われていた。魚へんにつくり「庸」の「鱅」は、コノシロを焼くと死体を焼いたような臭いがすることに由来する字である。「コノシロを焼く」は「この城を焼く」にもなり、江戸時代の武士たちには忌み嫌われていたという。

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カテゴリー「魚へん漢字の由来

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