およそ400年の歴史を持つ歌舞伎には、私たちの生活に自然に溶け込んでいる言葉が数多くある。
幕を引く
歌舞伎で一つの物語が終わったら幕を引くことに由来する。
黒幕
夜のシーンを表したり場面転換で使う黒幕を舞台裏から人が動かす。そこから転じて裏で手を引いて物事を動かす人の意味となった。
修羅場
合戦のシーンや男女の激しいやり取りを歌舞伎で修羅場と呼ぶことに由来する。
どろん
「俺ここでどろんします」などと使われるが、怪談物で幽霊が退場する場面でドロンドロンと大太鼓が鳴ることに由来し、そこから転じていなくなることに使われるようになった。
大詰と大喜利
歌舞伎は昔、2本立てだった。1本目に時代物で主に武家社会を描いた演目、2本目に世話物で主に町人文化・風俗を描いた演目を行っていた。その時代物の最後の場面を「大詰」と言い、世話物の最後の場面を「大喜利」と言った。元々「大切」と書いていたが、縁起がよい字ということで「大喜利」となった。
差金
鏡獅子などをやる時に蝶々を飛ばす棒のことを差金と言い、そこから「誰かの差金」などのように陰で人をそそのかし操ることの意味で使われるようになった。
なあなあ
セリフをはっきり言わないで片方が内緒話をする時、「なあ」と答え、さらに「なあ」と答える「なあなあ」の掛け合いに由来し、あまりきちんとしないその場の流れで決めることを「なあなあにする」のように使われるようになった。
楽屋
雅楽の人たちが入っていた部屋という意味で楽屋と言っていた。
だんまり
歌舞伎で黙ったままお互いを探り合う演技に由来し、黙ったままで何も言わないことやめったに口を利かない人のことを言うようになった。
2016/10/13