ドラマ『ドクターX』(2012年~)の脚本家で名台詞「私、失敗しないので。」の生みの親である中園ミホさんは、これまで『やまとなでしこ』(2000年)や『ハケンの品格』(2007年)、『はつ恋』(2012年)、連続テレビ小説『花子とアン』(2014年)など数多くのヒット作を書いてきた。
中園さんは取材をして現場の生の声を聞き出したら、次に頭の中で演じる役者のイメージを掛け合わせ、『やまとなでしこ』の主人公・神野桜子(演:松嶋菜々子)など個性的なキャラクターを生み出してきた。
しかし、『ドクターX』はそうはいかず、大門未知子(演:米倉涼子)のキャラクターを生み出すのに大苦戦した。これは大門未知子のようにフリーランスで一匹狼の医者が日本にはほぼいなかったため。いない医者のキャラクターのお決まりの台詞を想像するのは難しく、最初は無口な外科医にしようと諦めたほどだった。
行き詰って締切も過ぎた時に夜中にテレビをつけてみたところ、ちょうど2012年ロンドンオリンピックの時期で、柔道の決勝戦に出てきたのが闘志むき出しの松本薫選手だった。金メダルを獲得した後のインタビューで松本選手は「私ミスしないので」と答える場面があり、これを聞いた中園さんは体が震えるほどの衝撃を受けたという。そして、誕生したのが名台詞「私、失敗しないので。」だった。
試合では誰にも負けない強い意志を持ち、試合後は女の子らしい笑顔を見せる、そんな松本選手から大門未知子という個性的なキャラクターが誕生した。
2017/9/1
カテゴリー「スポーツ」