その人の性格など個人差はあるが、一般的に人は若い時に比べて年を重ねるほど感動しやすく、涙もろくなる傾向にある。
涙には大きく分けて二種類がある。一つ目の涙は目を乾燥やゴミから保護する涙である。二つ目の涙は感動し気持ちが動いた時に出る涙である。年を重ねて涙もろくなるのは二つ目の涙のほうで、感情が刺激されて涙が出る。
例えば、家族の愛や絆、人が何かに挑戦する姿などに感動したり、悲しみや哀れみを感じたりして涙が出る。年を重ねると涙もろくなるのは「共感力が上がってくるから」だという説がある。
感動したり感情が沸き起こったりするためには、他人の気持ちに共感することや、他人をまるで自分であるかのように思う自己投影が必要になる。
人は年を重ねるほど多くの経験を積むことになり、より多くの場面で共感でき、涙が出やすくなる。他人に共感する能力は、様々な経験が蓄えられた50代にピークを迎えるという研究結果もある。
そして、涙もろくなるもう一つの理由として「脳のブレーキが緩みやすくなるから」だという説がある。脳のブレーキとは自分の気持ちの変化など感情を抑制する力のことである。
脳の表面部分の大脳皮質(だいのうひしつ)、その中でも特に前部に位置する前頭葉(ぜんとうよう)には感情を抑制する働きがある。脳のブレーキは20代前半にピークを迎え、その後は年齢とともに衰えるという特徴がある。
つまり、年を重ねると、経験によって感情が豊かになり共感力が上がる一方で、その感情を抑制する脳のブレーキが緩みやすいため、涙もろくなる。涙もろい人は、感情が豊かで他人の気持ちが分かる心優しい人であると言える。
2021/1/6
カテゴリー「生活・科学」