1914年(大正3年)のこの日、島村抱月(しまむら ほうげつ、1871~1918年)と松井須磨子(まつい すまこ、1886~1919年)が起こした劇団「芸術座」が、トルストイの『復活』の初演を行った。この中で歌われた『カチューシャの唄』が大流行した。
『復活』は、帝政ロシアの小説家レフ・トルストイ(Lev Tolstoy、1828~1910年)の代表作である。1899年(明治32年)に雑誌への連載で発表され、若い貴族とかつて恋人だった女の、贖罪(しょくざい:罪滅ぼし)と魂の救済を描き、それを通じて社会の偽善を告発した作品である。
『カチューシャの唄』の作詞は島村抱月と相馬御風(そうま ぎょふう、1883~1950年)、作曲は中山晋平(なかやま しんぺい、1887~1952年)。『復活』の劇中歌として、主演女優の松井須磨子などが歌唱した。また、1914年5月に『復活唱歌』の題名で、松井の歌唱によるレコードが発売された。歌詞の「カチューシャかわいや わかれのつらさ」は爆発的な流行語となった。
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このYouTubeの音楽は当時のレコードが音源と思われる。また、この音源の歌詞は以下の通りであると思われる。当時は歴史的仮名遣いが用いられていたが、これは現代仮名遣いで表記されたものである。
上演当日に、劇場の廊下に歌詞を大きく書いた紙を貼り出すと、それをメモしようと客が群がり、合唱となったエピソードもある。松井の生誕地である長野県長野市や、中山の生誕地である長野県中野市の「中山晋平記念館」などには、この歌の歌碑がある。
松井須磨子演劇碑(松井生家の裏山)
画像元:歌碑を訪ねて西東
『復活唱歌』(カチューシャの唄)のレコードは、蓄音機自体が高価で普及率が低く、数千枚売れれば大当たりと言われた当時でも2万枚以上を売り上げたという説もある。
記念日「カチューシャの唄の日」は東京都新宿区神楽坂に事務局を置く一般社団法人・松井須磨子協会が制定。同法人は2023年(令和5年)1月26日に設立した団体。大正時代に活躍した日本初の新劇女優・松井須磨子と日本近代演劇の父・島村抱月の功績をたたえる顕彰活動を行っている。
記念日を通して、多くの人に「カチューシャの唄」とともに松井須磨子と島村抱月の功績に関心を持ってもらうことが目的。記念日は2023年に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。