アメリカとイギリスに本部を置く世界的非営利団体(NPO)である狂犬病予防連盟(Global Alliance for Rabies Control:GARC)が制定。国際デーの一つ。英語表記は「World Rabies Day」。
この日は国連の記念日にも指定されており、また、世界保健機関(World Health Organization:WHO)や国際獣疫事務局(International Epizootic Office:OIE)、世界獣医学協会(World Veterinary Association:WVA)などいくつかの国際的保健機関に承認されている。
日付は、狂犬病ワクチンの開発者であるフランスの生化学者・細菌学者のルイ・パスツール(Louis Pasteur、 1822~1895年)の命日にちなむ。人や動物における狂犬病の影響やその予防法などについて、より多くの人に知ってもらうことが目的。
狂犬病予防連盟(GARC)は、2006年(平成18年)に発足された団体で、その活動の一環として、この国際デーの取り組みを始めた。翌2007年(平成19年)以降、世界の各国において毎年イベントが開催され、狂犬病の教育活動や犬への狂犬病の予防注射などが実施される。日本では狂犬病臨床研究会が主催・厚生労働省が後援のシンポジウムなどが開催される。
狂犬病は、狂犬病ウイルスを病原体とする人と動物の両方に感染する感染症である。現在においても未だに多くの国で深刻な健康上の問題となっており、野良犬か愛玩犬かを問わず多数の犬がワクチン接種を受けていないアフリカやアジアなどの地域で主に発生している。
なお、パスツールは「科学には国境はないが、科学者には祖国がある」という言葉でも知られ、牛乳・ワイン・ビールの腐敗を防ぐ低温での殺菌法の開発なども行った人物である。また、炭疽菌や結核菌、コレラ菌の発見者であるドイツの医師・細菌学者のロベルト・コッホ(Robert Koch、1843~1910年)と共に「近代細菌学の開祖」とされる。