男の子は大体中学生ぐらいになると声変わりをする。そんな声変わりを記録したレコードが日本にはある。
そのレコードはNHKが制作した「変声期」というタイトルのレコード。とある少年の12歳~15歳までの歌声を毎週録音していったもの。レコードの一番最初に録音されたのは「4月2日 12歳 古庄紋十郎(ふるしょう もんじゅうろう) ね~むれ~ね~むれ~」というセリフと歌声。1960年(昭和35年)4月2日の12歳に記録を開始。「しかしとうとう険しい坂道が彼の目の前に現れました」との説明のナレーション入り。
1961年(昭和36年)1月14日の13歳(9ヵ月後)の歌声は声変わりの始まりが分かる程度に変わっている。ナレーション「矯(た)められた枝が弾かれるように 堤を突き崩す奔流(ほんりゅう)のように 避けることのできない あの透明な子どもの声との決別の時がやってきたのです」。
1961年5月6日の14歳(1年1ヵ月後)の歌声では高音が出ずにかすれた歌声が聞こえる。ナレーション「あえぎながら登りついた1つの峰 それは行く手に新しい世界を垣間見ながらも まだ遠ざかり失われていくものを惜しんでいるように見えます」。
そして、1963年(昭和38年)4月2日の15歳(3年後)の歌声は声変わりが完了し、低音の男性の歌声になっている。ナレーション「日常の生活の中に取り紛れ 不当に無視されがちな声の一つの季節 変声期と呼ばれるこの時期の記録によってあなたにもわかって頂けたことでしょう 声もまた青春への階段を登る為に 他の肉体の部分や精神と同じ様に 苦しみながら歩いているということに・・・」。こんなレコードが1968年(昭和43年)に当時1500円で発売されていた。
2016/10/14
カテゴリー「歴史・文化」