平安時代の古文書には「ちくわ」の形をしたものが「蒲鉾(かまぼこ)」と書かれている。なぜ「かまぼこ」から「ちくわ」になってしまったのだろうか。
元々「ちくわ」の形のものが先にあり、竹の筒の周りにすり身を付けたものだった。これが植物の蒲(がま)の形に似ていることから「蒲の穂」と呼ばれ、そこから転じて「蒲鉾(かまぼこ)」になったと言われている。その後、板に半円形のすり身をのせて作る「かまぼこ」が出てきた。どちらも「かまぼこ」という状況になり、区別するために竹の筒で使ったものを「竹輪かまぼこ」と呼び、板を使ったものを「板かまぼこ」と呼んだ。そして不思議なことに「竹輪かまぼこ」は「かまぼこ」がなくなり「ちくわ」に、「板かまぼこ」は「板」がなくなり「かまぼこ」になった。そのため、お蕎麦屋さんで「板わさ」と言うと「板かまぼこ」に「わさび」が付いたものが出てくる。
元の名前が別のものに変わった例として、「朝顔」があり、昔の「朝顔」は今の「桔梗(キキョウ)」のことだった。現在の「朝顔」は奈良時代には「牽牛子(けんごし)」と呼ばれ、朝に綺麗な花を咲かせることから「朝顔」という名前になり、それまでの「朝顔」は中国の呼び名である「桔梗」と呼ばれるようになった。
2016/10/17
カテゴリー「食べ物」