日本のフルーツが美味しい理由:葉果比と摘果

日本の梨(ナシ)の旬は品種によっても異なるが、8月から9月頃とされる。旬を迎える日本の梨は、甘くみずみずしいと世界から注目されている。

そんな美味しい梨を作るのに欠かせないのが、折角(せっかく)木にできた実をカットして減らすことである。この実を減らす作業には全国共通のルールがある。

収穫前の梨
収穫前の梨
画像元千葉県

果物の木は葉っぱで光合成をして、そこでできたブドウ糖を果実に送る。実が多すぎればブドウ糖を分けてしまい、1個の実のブドウ糖が少なくなり甘味が減る。葉っぱに対してどのくらいの果実を残せばよいかは経験的に分かっており、「葉果比」(ようかひ)というものがある。

葉果比とは実1個に対して葉を何枚残すかを表したもので、梨の場合は実1個に対して葉が30~40枚である。この比率は農業試験場の栽培データの積み重ねから算出されたので、全国共通のルールになっている。

主な果物の葉果比は以下の通り。

  • リンゴ:40~70枚
  • 梨:30~40枚
  • 温州みかん:25~30枚
  • デコポン:80~100枚
  • もも:20~30枚
  • 甘柿:18~20枚
  • 巨峰:15~20枚
  • ぶどう(デラウェア):9~10枚
  • さくらんぼ:4~7枚

1枚1枚の葉が大きい甘柿や巨峰は葉の枚数が少なくても光合成が十分できるが、デコポンなどの柑橘類は葉が小さいため多くの葉が必要となり、実を間引く。この成長する前の果実を間引くことは「摘果」(てきか)と呼ばれる。全国共通の葉果比に従って摘果が行われるため、日本のフルーツは全国的に安定して美味しいのである。

2017/11/25

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カテゴリー「食べ物

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