防犯システムはハイテク化が進んでおり、最近注目されているのが、犯罪を起こす前に危険人物を予知できる防犯システムである。
進化する防犯カメラ(イメージ)
画像元:日経ビジネスオンライン
その驚くべき性能は犯行現場で実証済みである。2013年(平成25年)4月15日に起きた「ボストンマラソン爆破テロ事件」は死者3人、負傷者300人を出す悲劇であり、過激派組織「イスラム国」の影響を受けた犯人の兄弟が引き起こしたものだった。防犯カメラの映像を事後解析したところ、テロ犯だった兄弟を検知することができた。
このシステムはカメラに映る人物の怪しさに合わせて「怪しさメーター」が変化し、不審者を発見する。「普通の人」は緑色の枠で囲まれるが、「不審者」の確率が高いと判断されるとその人物が赤色の枠で囲まれる。この防犯カメラをテロ事件前に導入していれば事件を未然に防ぐことができたかもしれない。
この犯罪を予知する防犯システムは冷戦時代に旧ソ連が作り上げたシステムで、スーパーやコンビニでの「万引き犯」や街中でのバイクの「窃盗犯」などを検知することができる。このシステムは犯行が行われる前の段階で「不審者」を判断するが、「演技で犯罪をしそうな人」は不審者扱いにならない。感情のない機械がその場の空気を読むという、本物の犯罪者だけを見抜く機能がある。
その機能の理由は「体から出ている見えない振動」を認識しているためである。犯罪をする前の人は普通の人とは異なる緊張・興奮状態にあり、目では見えないその微妙な振動をこの防犯予知システムが読み取っている。顔や体のどこがどのように振動しているのか、その強弱によって緊張・ストレス・攻撃性など50パターンの感情に分析する。そして、犯罪を起こす可能性の高い「危険人物」を見つけ出す。
このシステムがボストンマラソン爆破テロ事件の犯人を検知できたのは、彼ら兄弟の自爆への恐怖心が強く、犯罪者特有の反応が出たと考えられている。そして現在、この防犯システムは日本でも警察や金融機関、鉄道会社などで導入され始めている。また、2020年の東京オリンピックでも採用予定となっている。
2017/12/31
カテゴリー「生活・科学」