昭和・平成時代の小説家・藤枝静男(ふじえだ しずお)の1993年(平成5年)の忌日。
出身地の静岡県藤枝市では、この日に同市五十海の岳叟寺にて、藤枝静男墓前祭「雄老忌」が開催される。「雄老忌」の名前は、同市出身の小説家・小川国夫が命名したものである。
1907年(明治40年)12月20日、現在の藤枝市に生まれる。本名は勝見次郎。家業は薬局。名古屋の第八高等学校を経て、千葉医科大学を卒業。
八高時代に平野謙、本多秋五と交わり、その友情は久しきにわたって続く。志賀直哉に傾倒。戦後、浜松市で眼科医のかたわら文筆生活に入る。平野、本多らの勧めで文芸雑誌『近代文学』に『路』(1947年)、『犬の血』(1956年)などを発表。
『凶徒津田三蔵』(1961年)で認められ、『空気頭』(1967年)で芸術選奨文部大臣賞を受賞。私小説の世界と幻想奇想の世界とをあわせもつ作品を生みだす。肺炎のため神奈川県三浦半島の療養所で死去。85歳。
その他の作品に『愛国者たち』(1973年)、『田紳有楽』(1976年)、『悲しいだけ』(1977年)などがある。2007年(平成19年)に、藤枝静男や小川国夫などの文学世界を展示紹介する「藤枝市文学館」が、市民憩いの場所・蓮華寺池公園の郷土博物館に接続する形で開設された。