その年、初めて一般の登山者に山登りを許す日。「開山(かいざん)」と呼ばれることもある。
昔、登山は信仰行事で普段は登山を禁止していた。夏の一定期間だけ解禁され、それを「山開き(やまびらき)」と称した。そうした昔のしきたりを受け継いで、多くの山でこの日7月1日に「山開き」をして夏山登山の安全を祈願する。富士山はこの日に浅間神社などで「開山祭」が行われる。
山岳に宗教的意味を与えて崇拝し、種々の儀礼を行うことを「山岳信仰(さんがくしんこう)」という。日本の山はこの山岳信仰の盛んな所が多い。これらの山では昔は入峰修行(にゅうぶしゅぎょう)をする山伏(やまぶし)や僧たちのみの世界で一般の人は立ち入ることのできない聖なる所とされた。無理に入れば天狗(てんぐ)に襲われるともいわれた。
しかし、江戸時代の中期以降には各地に山岳信仰の講が結成され、山頂に祀(まつ)られている神を拝むための講中登山(こうちゅうとざん)が行われるようになった。富士講(ふじこう)や扶桑教(ふそうきょう)、実行教、丸山教などがこれにあたる。
そのため、日数を決めて山を世間一般の人・俗人(ぞくじん)に開放した。これが「山開き」であり、その初日に信徒たちは山に登れることを祝った。なお、最終日は「山仕舞い(やまじまい)」と呼ばれ、山はまた僧侶たちのみの世界となった。「山開き」は夏の季語でもある。