1903年(明治36年)のこの日、東京電車鉄道の路面電車が新橋~品川で営業を開始し、東京で初めて路面電車(チンチン電車)が走った。
日本で初めて路面電車が走ったのは1890年(明治23年)5月4日に上野公園で開催されていた第3回内国勧業博覧会の会場内だった。また、日本で最初の一般道路を走る路面電車は1895年(明治28年)2月1日に開業した塩小路東洞院~伏見京橋の京都電気鉄道であった。
路面電車とは、主に都市内およびその近郊の道路上に敷設された鉄道で、比較的短距離の旅客輸送手段として利用される。道路上の安全地帯や歩道から車両に乗降する、停留場の間隔が短いなどの特徴がある。
路面電車や市街電車は、イギリスではtram(トラム)、アメリカではstreetcar(ストリートカー)と呼ばれる。世界では約50ヵ国の約400都市に存在し、ドイツやロシアで特に発達している。
路面鉄道は、元々は都市内の馬車鉄道として生まれ、1840年代に欧米各地に広がっていった。その後、馬の糞尿による悪臭などの問題が沿線で発生したため、動力を馬以外にする試みが行われ、蒸気機関などもあったが、電気動力が最も普及した。
「チンチン電車」という通称の由来には2つの説があり、1つは、通行人への警報のために、運転士が足で床下の鐘(フートゴング)を鳴らす音から来ており、もう1つは、車掌が運転士にあるいは運転士が車掌に合図を送るために鳴らしていた鐘(あるいはベル)の音に由来する。
この日は別に、「ろ(6)でん(10)」(路電)と読む語呂合わせで6月10日が「路面電車の日」となっている。これは1995年(平成7年)に全国の路面電車を持つ自治体が広島市で開催した「第2回路面電車サミット」で制定された記念日である。