東京都江東区亀戸に本店を置き、くず餅・あんみつなどの製造・販売を手がける株式会社船橋屋が制定。
日付は「く(9)ず(2)もち」(くず餅)と読む語呂合わせから。
記念日を通して「くず餅」の美味しさをさらに多くの人に知ってもらうことが目的。記念日は2021年(令和3年)に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された。
小麦澱粉(でんぷん)を発酵させて作る「くず餅」は、適度なやわらかさとしなやかな歯ざわりで江戸時代から愛されている和菓子唯一の発酵食品である。
「くず餅」は身体に優しいお菓子で、450日(15ヵ月)もの間、乳酸発酵でじっくりと熟成させて作られる。ただし、自然のまま無添加の発酵製法のため、消費期限はわずか2日間となっている。
船橋屋は、1805年(文化2年)の第11代将軍・徳川家斉(とくがわ いえなり、1773~1841年)の時、江戸・亀戸天神参道に創業した店である。
船橋屋の初代・勘助の出身地は下総国(現:千葉県北部)の船橋で、当時、下総国は良質な小麦の産地だった。勘助は、亀戸天神が梅や藤の季節に参拝客で賑わうのを見て上京し、湯で練った小麦澱粉をせいろで蒸し、黒蜜きな粉をかけて餅を作り上げた。
それがまたたく間に参拝客の垂涎(すいぜん)の的となり、いつしか「くず餅」と名付けられ、江戸の名物の一つに数えられる程の評判を取った。そして、その「くず餅」は創業から210年以上もの間、作り続けられている。
ちなみに、船橋屋の商品は「くず餅」と表記される。漢字で表記される「葛餅(くずもち)」は葛粉から作られ、主に関西圏で食されている別の物である。