1964年(昭和39年)のこの日、東京駅~新大阪駅間を結ぶ東海道新幹線が開業した。
この年の10月10日に開幕した東京オリンピックに合わせて東海道本線の輸送力が強化された。東京~新大阪間を「ひかり」4時間、「こだま」5時間で運行した。
東海道新幹線の開業により初代の新幹線0系電車が運行を開始した。開業当初は全車両で喫煙が可能だった。東海道新幹線は白色の車体に青色のラインが特徴的である。このカラーリングはタバコの「ハイライト(hi-lite)」に由来するという話がある。
新幹線の開発当時、国鉄の会議室では新幹線を何色にするかでもめていた。それまでの一般的な列車のブレーキは摩擦による細かい鉄くずが飛び散るため、車体に汚れが目立つ白色は使えなかった。
しかし、新幹線用に開発された新型ブレーキは鉄くずが出にくい構造になっており、世界的にも珍しい「白い車体」が可能だった。そこで、車体の色は白色を基調にすることで会議が進行した。
会議では基本色の白色と何色にするかで話し合いが行われ、赤色派と青色派で対立していた。当時、羽田空港に乗り入れていた海外の航空機は青いカラーリングが多かった。そんな時、会議室の机の上にはタバコのハイライトの箱が置かれていた。
ハイライトは1960年(昭和35年)6月20日に発売された人気銘柄のタバコで、売り上げ世界一を記録した大ヒット商品だった。当時としては珍しいセロハン包装で光沢のある青と白のデザインが特徴的だった。
会議に出席していた人たちはハイライトを並べて新幹線が走る姿を再現していた。そして、白色の車体をベースに太い青色のラインが引かれたデザインが採用された。
この新幹線のブルーは「青20号(ブライトブルー)」という名前で登録されていて、歴代の東海道新幹線に受け継がれている。そして、2024年(令和6年)10月1日に東海道新幹線は開業60周年を迎えた。
東海道新幹線60周年ロゴマークとポスターは絵本作家・イラストレーターの鈴木のりたけ(すずき のりたけ、1975~)が描いた。人の温かみが感じられ、誰もが自分の姿と重ねて懐かしくなる素敵なポスターとなっている。