日本色彩研究所が中心となって選定した日本の伝統300色には、数多くの色があるが似た色も多い。その中でも鼠色(ねずみいろ)、茶色(ちゃいろ)、藍色(あいいろ)に区分される色は圧倒的に多い。
鼠色には藤鼠(ふじねず)、素鼠(すねず)、梅鼠(うめねず)など、茶色には鶯茶(うぐいすちゃ)、焦茶(こげちゃ)、海松茶(みるちゃ)など、藍色には紺色(こんいろ)、納戸色(なんどいろ)などがある。
これは江戸時代後期に庶民の贅沢を規制した奢侈(しゃし)禁止令が出されたことによるものである。庶民に「身の程」をわきまえさせるために、絹の着物を着ることが禁止され、木綿と麻のみが許された。また、使ってよい色も制約が設けられ、それが鼠色、茶色、藍色であった。
しかし、江戸っ子はお洒落であり、その倹約令の中で工夫しようとした結果、鼠色、茶色、藍色に少しずつ色の違うバリエーションができ、現在に至っている。
ちなみに、灰色を鼠色と表現したのは火事が多い江戸で「灰」という表現が嫌われたためである。
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2017/8/17
カテゴリー「歴史・文化」