全国の市町村が注目する居酒屋が東京・日本橋にあるご当地酒場「北海道八雲町」である。連日満席の大人気店で、とにかく料理が美味しいと評判になっている。
この居酒屋は東京都中央区日本橋兜町に本社を置く株式会社ファンファンクションが運営している。ホタテやジャガイモなど食材の全てが八雲町産である。あまり有名ではない町だが、八雲町は人口1万7千人、面積956km2の小さな町。
画像元:八雲町観光物産協会
馴染みのない地名をあえて店名にした「北海道八雲町」だが、このお店は八雲町の自治体公認の店名である。八雲町にはもとから野菜や魚介など美味しい食材があったが、今まで「北海道産」の一部として全国に出荷されていた。つまり、「八雲町」という地名が埋もれていた。
しかし、公認の居酒屋ができれば八雲町の漁師や農家などの生産者が美味しい食材を店に優先的に出荷・販売してくれる。すると、初めて聞く土地の美味しさを知った客が八雲町のブランド食材の虜(とりこ)となりリピーターに。この地域ブランドの構築が居酒屋氷河期でも大ヒットする居酒屋の要因である。
例えば、ナガヅカという魚はグロテスクな見た目から加工されて「北海道産の白身魚」として売られていたが、居酒屋「八雲町」がメニューに採用したところ、その美味しさでリピーターを呼ぶ人気商品となった。現在、居酒屋「北海道八雲町」には、三越前店、日本橋別館、浜松町店がある。
居酒屋で「こんなに美味しいものがあるのか」と言って、その後、多くの人がやる行動がある。それはネットで「ふるさと納税」をすると返礼品として何が貰えるのかを調べること。その町の魅力が伝わると今の場合はふるさと納税という制度があるので、直接的に自治体の税収が増える。単なる居酒屋に見えて、実は「町おこし」に直結する要素を持っている。
2009年(平成21年)に居酒屋「八雲町」をオープンし、2010年(平成22年)のふるさと納税は150万円だったが、その6年後の2016年(平成28年)には11億4600万円で、ふるさと納税が11億円アップした。
これに全国の市町村が注目し、現在では八雲町以外にもご当地居酒屋として「北海道厚岸」「佐賀県三瀬村」「長崎県小値賀町」といった自治体が公認するアンテナショップ型の居酒屋をオープンさせ、どの店も満席の大盛況となっている。
リンク:ファンファンクション
2017/10/27
カテゴリー「食べ物」