大仏の額にはホクロのような突起物があるが、あれはホクロではなく毛の塊である。
奈良の大仏(東大寺の盧舎那仏像)
画像元:東大寺・御朱印
あれは白毫(びゃくごう)と呼ばれるもので、白く長い毛が右巻きに丸まってる。伸ばすと1丈5尺(約4.5メートル)あり、光明を放ち世界を照らすとされる。仏の慈悲の光が全世界へと届き、悩みや苦しみにあえぐ人を見えないところまで見抜くことのできる仏の力を表わしている。仏像では水晶の玉などを用いて表わし、絵画では白毫から数条の光明が放射状に描かれることが多い。
上の奈良の大仏では白毫がただの突起物のようになっているが、下の鎌倉の大仏では毛が丸まっている様子が分かる。
鎌倉の大仏
その白毫
画像元:鎌倉大仏殿高徳院
ちなみに、仏像の丸まった髪の毛のことは螺髪(らほつ)と言う。螺髪は知恵の象徴で、螺髪の「螺」は巻貝を意味し、仏像によってその数は異なる。螺髪は白毫と同じように右巻きであるが、鎌倉の大仏だけは左巻きで、その理由は不明である。
螺髪の数は、奈良の大仏は966個であり、鎌倉の大仏は656個とされてきた。しかし、2015年(平成27年)に東京大学生産技術研究所がレーザー解析を行ったところ、奈良の大仏の螺髪は定説のおよそ半分の492個であることが分かった。
2017/11/6
カテゴリー「歴史・文化」