白雪姫はもともと王子様のキスではなく、王子の召使いに背中を殴られて目覚めた。
『白雪姫』は、主人公の白雪姫の美しさをねたんだ継母のお妃によって毒リンゴを食べさせられ、その後、死んでしまったと思われていたところを通りがかった王子様のキスにより目覚めることで知られるグリム童話である。
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しかし、1812年に発行された『グリム童話集 初版(復刻版)』では以下のような物語になっている。
白雪姫が毒リンゴで死んでしまい、悲しみに暮れているところに王子様が訪ねて来た。白雪姫のあまりの美しさに心を奪われた王子様は棺に入った白雪姫をもらい、その棺を召使いたちに担がせ、どこへ行くにも連れて回った。大変なのが召使いたちで、いつも棺を担いで歩かないといけない召使いたちは腹を立て、ある時、棺を開けて白雪姫を高く持ち上げると、「死んだ娘一人のおかげで俺たちはひどい目にあっている」と言い、白雪姫の背中を手でどんと殴った。すると、白雪姫がかじって喉に詰まらせていたリンゴの芯が口から飛び出して白雪姫は目を覚ました。そして、次の日に白雪姫は王子様とめでたく結婚したという。
『白雪姫』は絵本や映画化されていく中で、教育的配慮という大義名分の元に変えられたと考えられている。第2版からは、「召使いがつまずいた揺れで白雪姫の口から毒リンゴが飛び出して生き返る」という内容に変更された。
日本では明治時代以降に『白雪姫』の話が入ってきて広まったが、すでにこの第2版の内容だった。「王子様がお別れのキスをしようとした時に生き返る」という内容は1950年(昭和25年)に公開されたアニメ映画からで、それが後の人々に広まったと考えられている。
2017/10/21
カテゴリー「歴史・文化」