東京駅周辺には八重洲地下街などの地下街が広がっており、昭和から平成にかけて大きく成長した。これには地上の街並みが関係している。
40年前の1979年(昭和54年)には全長1kmにも満たなかった東京駅周辺の地下街が、2019年(平成31年)の現在では全長18kmにも及ぶ地下街に成長している。ここまで地下街が広がった理由としては、観光客を呼び込んだり、災害時の避難所として活用するなどの目的もあるが、東京駅周辺ならではの理由がある。
それは国ではなく各企業が自主的に地下を整備しているためである。これには「容積率」が関係している。容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合のことである。例えば、100坪の土地で容積率が1000%の場合、最大1000坪の延床面積、つまり10階分の建物が建てられる。
しかし、容積率は上限が地域ごとに定められており、丸の内は1300%、霞ヶ関は700%、富士見・九段北は400%となっている。より高いビルを建てたい企業にとっては、何とかして容積率を稼がないといけない。その1つの手段が、企業が自前で地下通路を整備するというもの。地下通路を整備することにより、規定の容積率を超える延床面積を確保できる仕組みになっている。
この仕組みを利用することで、東京駅周辺の地下開発が推進されている。つまり、東京駅周辺の地下街が年々広がっているのは、企業が自前で地下通路を整備するとより高いビルを建てられるためである。
分かりやすい例を挙げると、2017年(平成29年)4月に開業した銀座の商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」は、開業の8ヵ月後の同年12月に銀座駅への地下通路を開通させた。
地下通路の設置を含む公共貢献により、容積率260%のボーナスポイントを得ることができた。もともとGINZA SIXの容積率は1100%だったが、このボーナスにより容積率は1360%になった。そのおかげで、もともと12階建ての予定が、13階まで建てられるようになった。
リンク:Wikipedia、八重洲地下街、GINZA SIX
2019/4/26
カテゴリー「乗り物」