ゴルフボールの表面には「ディンプル」(dimple)と呼ばれる小さなくぼみが数多くある。英語「dimple」は「くぼみ、えくぼ」を意味する。
19世紀のイギリスではゴルフが大流行していた。最初は凸凹のないゴルフボールを使用していたが、繰り返し使用した表面に傷のあるボールの方がよく飛ぶことに気が付いた。そこで、ボールの表面に意図的にくぼみを作り、飛距離が伸びるボールが研究され、現在のような凸凹があるゴルフボールの形になっていった。
一説にはディンプルが有るものと無いものでは飛距離が2倍以上違うと言われる。ディンプルには大きく2つの役割があると考えられており、それは「空気抵抗の軽減」と「揚力の増加」である。
飛んでいくボールには2つの空気抵抗が働き、1つ目は空気を切り裂く時に発生する前方の空気抵抗、2つ目は切り裂かれた空気がボールの後方に作るボールを引き戻そうとする空気抵抗である。ディンプルがあると1つ目の前方の空気抵抗は増加する。一方、ディンプルには後方の空気抵抗が発生する領域を小さくする働きがあり、2つ目の後方の空気抵抗は減少する。全体的に見るとディンプルはボールの空気抵抗を軽減させる効果がある。
揚力とは物体を押し上げるように働く上向きの力である。ボールはバックスピンと呼ばれる上向きの回転により、ボールの上側の空気の流れが下側の流れよりも速くなり、気圧差が生まれてボールに上向きの力「揚力」が働く。簡単に言うと、ディンプルがあることにより、ボールの上下の空気の速度差が大きくなり、揚力が増加する。
このようにゴルフボールはディンプルがあることで、ボールの空気抵抗が軽減され、揚力が増加し、より遠くに飛ばすことができる。ゴルフボールのディンプルの数は一般的に300~400個程度だが、多いものでは500個以上になる。より飛距離が出るようにディンプルの数や形状、深さ、配置バランスなどが研究され、商品化がされている。
2019/6/20
カテゴリー「スポーツ」