近年のサッカーボールは様々な色やデザインがあるが、サッカーボールの典型的なデザインといえば、五角形と六角形を組み合わせた白黒のサッカーボールである。
この白黒のサッカーボールは「テルスター」と呼ばれるデザインで、アルキメデスの多面体の法則を利用した、黒塗りの五角形の革12枚と、白塗りの六角形の革20枚で構成された切頂二十面体のボールである。このボールが登場したのは1960年代のことであり、初めはヨーロッパで普及した。
当時、モノクロのテレビ放送が普及し始めた時期であり、従来の白や茶色の一色のボールではテレビで見えにくいという問題があった。そこで、テレビ中継の時にボールが見えやすいようにと、白黒に色分けされたサッカーボールがデザインされたと言われている。
また、この白黒のサッカーボールは従来のボールに比べてより球体に近いことや、土のグラウンドでも見分けられやすいことなどもあり、サッカー選手の間でも人気があり、瞬く間に広まっていった。
日本では1966年(昭和41年)の日本サッカーリーグで使用されたことで広まり、子ども達の間でも人気を博した。国際大会では1968年のメキシコオリンピックで初めて採用され、FIFAワールドカップでは1970年のメキシコ大会で初めて試合球として採用された。
白黒のサッカーボールはテレビで見えやすいための工夫として生まれたデザインだった。公式試合球として採用された白黒デザインの「テルスター」(Telstar)はアディダス製のサッカーボールで、その名前にはテレビ観戦する人々がボールをちゃんと見分けられるという点にも注目して、「テレビのスター」(television star)という意味が込められている。
2019/9/22
カテゴリー「スポーツ」