日本のインド料理店ではカレーとナンのセットが定番となっている。しかし、日本のような大きいナンは本場インドにはほとんどない。
インド人も日本のナンは大きすぎると指摘するほどで、インドのナンはもっと小さい。日本のナンが大きくなったのには、インド料理店同士の熾烈な争いの歴史があった。
1968年(昭和43年)に本格北インド料理店「アショカ」が日本で初めてナンを提供したとされる。1980年代後半、インド料理店が日本で激増した。その時、他店との差別化を図るためにある店が少し大きめのナンを提供した。すると、その噂を聞きつけた他のインド料理店も同様にナンを巨大化させた。インド料理店同士の激しい競争の中で、日本のナンはどんどん大きくなっていった。
しかし、当時ほとんどの店ではナンを焼くのにインド製の土釜「タンドール」を使用していた。このタンドールは中に大量の炭を入れるため、ナンを焼く面積が狭く、次第にナンの大きさも頭打ちになった。
そこに、ナンを巨大化させるきっかけとなった日本製のタンドールが登場した。この日本製のタンドールは炭ではなくガスを使用したもので、従来の炭を使用するタンドールに比べて内部の面積が広く使えるようになった。これによりどの店でも大きいナンを焼けるようになり、日本のナンは大きいものが主流となった。
2019/8/2
カテゴリー「食べ物」