「天高く馬肥ゆる秋」の語源・由来

「天高く馬肥ゆる秋」(てんたかく うまこゆるあき)とは、「空は澄み渡り 高く見え 馬は食欲を増し 肥えてたくましく育つ秋」という意味の言葉である。

秋の風景

この言葉は「爽やかで気持ちのよい秋」という意味で、手紙などで時候の挨拶にも使われる。秋は一年の中でも特に空がきれいに見える季節とされる。適度に乾燥していて、水蒸気や塵が少ないため、空気が澄んで空が高く見えるという。

「天高く馬肥ゆる秋」は、そんな秋の快適な気候を表している。しかし、この言葉のもともとの意味は現在とは異なるものだった。

この言葉は中国から入ってきた表現で、唐の詩人・杜甫(と ほ、712~770年)の祖父にあたる杜審言(と しんげん、645~708年)の詩に由来する。7世紀頃の詩『蘇味道(そ みどう)に贈る』には、「雲浄(きよ)くして 妖星(ようせい)落ち 秋高くして 塞馬(さいば)肥ゆ」とある。

「妖星」とは不吉の前兆とされる星のことで、「塞馬」とは中国北部の辺境にいる馬のことを意味する。古代中国の頃から、中国の北部には匈奴(きょうど)などの騎馬民族が住んでいて、秋の収穫期を狙って度々攻め込んできた。それは杜審言のいる唐の時代になっても変わらなかった。

そこで「秋には夏草を食べて元気がある馬に乗った騎馬民族が攻めてくる」という敵襲に警戒する意図が込められた詩を詠んだ。そのため、「天高く馬肥ゆる秋」とは、もともと秋ののどかな雰囲気とは無縁の言葉だった。その後、日本では現在のように「快適な秋の季節」を意味する言葉として使われるようになったとされる。

リンクコトバンク

2019/9/23

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