「シャープペンシル」(sharp pencil)とは、細い黒鉛の芯を繰り出して用いる機械式筆記具である。略称で「シャーペン」などと呼ばれる。
シャープペンシルが世界で最初に発明されたのはイギリスで、1800年前後とされている。「シャープペンシル」の語源については、1837年頃にアメリカで発売された世界最初の実用シャープペンシルの商標「Eversharp」(エバーシャープ)だと言われている。この商品名は「常に鋭い」という意味である。
日本には明治時代にシャープペンシルが入り、その頃は「繰り出し鉛筆」と呼ばれていた。その後、大正時代に「エバー・レディ・シャープ・ペンシル」(Ever Ready Sharp Pencil)という商標の商品が発売されて以降、「シャープペンシル」という呼称が一般化していった。
この「エバー・レディ・シャープ・ペンシル」は、日本語に訳すと「常備芯尖鉛筆」であり、「常備されている芯の尖った鉛筆」という意味になる。これは現在の総合家電メーカー・シャープ株式会社の創業者・早川徳次(はやかわ とくじ、1893~1980年)が発明したものである。当初は「早川式繰出鉛筆」という名前で、その後に改名され、さらに後に「シャープペンシル」となった。
これ以前の繰出鉛筆はセルロイド製であり、非常に壊れやすく実用的ではなかったが、早川式繰出鉛筆は美しく丈夫な金属軸で、実用性と装飾性の高い製品であった。当初、日本国内では「和服には向かない」「金属製は冷たく感じる」などの理由で全く売れなかった。しかし、その後に欧米など海外に輸出されると高い評価を得たことで、日本国内でも売れるようになった。社名の「シャープ」(Sharp)もこの筆記具の名前に由来する。
このように「シャープペンシル」または「シャーペン」は、当時の商品名「エバー・レディ・シャープ・ペンシル」に由来する名前である。これらは和製英語であるため、海外では通じない言葉であり、英語では「mechanical pencil」(メカニカルペンシル)となる。
2019/9/13
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