おにぎりや巻き寿司、軍艦巻きなどに欠かせない海苔だが、その海苔の価格は2019年時点で10年前に比べて約1.5倍に高騰している。
海苔の価格が高騰したことで、商品の値上げに踏み切るスーパーやおにぎり専門店が続出する状況となっている。海苔の価格が上がったのは、全国的な海苔の不作による生産量の減少が原因である。海苔の不作にはいくつかの原因が考えられるが、その理由の一つに、海が汚れたからではなく、逆に海がきれいになったからという理由がある。
人間が海をきれいと判断する基準に沿うと、下水処理で余計なものが海水に流れ込まないようにする必要があった。そのために下水処理場などで水をきれいにしていたが、海の生物にとって必要な栄養分であるリンや窒素化合物まで取り除いていた。このような海苔が生育するのに必要なものまで取り除く処理をしたことで、海はきれいになったが、海苔の生育には悪い影響が出るという結果になってしまった。
つまり、下水処理の技術が発達したことで、海苔に必要な栄養分まで除去してしまい、海苔の収穫量が減り価格が高騰した。そこで、現在では下水処理から放流する水に含まれるリンや窒素を、基準を超えない程度に増やすことで、愛知県の三河湾などでは海苔の収穫量が改善してきている。
海苔の不作の原因については、他にも、これらの栄養分を川から海に運ぶ雨が少ないことや、海水の温度上昇による影響、雑食性の魚による食害、タンカーのオイル漏れ事故などがある。また、海苔の価格が上がった理由の一つとして、近年の人手不足による人件費の高騰なども挙げられる。
リンク:FNN PRIME、日テレNEWS24、Wikipedia
2019/9/26
カテゴリー「食べ物」