ハローキティのデザインには日本人が親しみを感じるある工夫がされている。それが左右非対称のデザインである。
一見するとキティちゃんの顔は左右対称のデザインに見えるが、実は左右非対称になっている。リボンが片方にしかないのはパッと見て分かるが、顔をよく見ると、向かって右側のリボンがある方のヒゲや耳が少しだけ上がっている。さらにリボンの形も左右で大きさが少しだけ違う。
これはどの年代のキティちゃんでも同じで、顔が少しだけ右上がりで、リボンの大きさも左右で違う。この左右非対称のデザインは手書きによるもので、線の太さの違いなどにも影響している。この手書きのデザインは線に自然な味が出て、人は親しみを感じやすくなる。現在ではパソコンで左右対称のキティちゃんを描くこともできるが、あえて手書きにこだわり、左右非対称のキティちゃんが描かれている。
もともと左右対称(シンメトリー:symmetry)を重んじてきた西洋文化とは違い、日本人が美しさを感じるのは生け花に代表されるような左右非対称(アシンメトリー:asymmetry)の美である。左右非対称には、不規則・不安定・不完全・不均衡などの意味合いがあるが、その中で絶妙な調和を見出した時に美しさとなる。
ハローキティの公式グッズも手書きのデザインに忠実で左右非対称である。上の画像は「ハローキティ フェイス形ミラー&コーム」という商品で、ヒゲやリボンが左右非対称であることを確認できる。このような左右非対称のデザインはキティちゃんが長い間愛されている秘訣でもある。
2019/10/26
カテゴリー「歴史・文化」