島根県出雲市にある「出雲大社」は一般的に「いづもたいしゃ」と呼ばれるが、正式名称は「いづもおおやしろ」である。
出雲大社は巨大しめ縄や国宝に指定された本殿などが有名である。「大社(たいしゃ)」の名が付く神社には、京都府の「伏見稲荷大社」、奈良県の「春日大社」、長野県の「諏訪大社」、大阪府の「住吉大社」などがあるが、これらの神社は「大社(おおやしろ)」とは読まない。
出雲大社だけ「大社」と書いて「おおやしろ」と読むのは、大昔の神話の世界にさかのぼる。そもそも社(やしろ)とは神社の別名である。出雲大社はその社がとても大きく、高さが32丈(32じょう:約96m)もあったという伝承もあり、その高さは30階建のビルの高さに相当する。
また、出雲大社に祀られているのは日本を築いたとされる「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」という特別な神である。偉大な神が祀られている「大きな社(やしろ)」から「大社(おおやしろ)」と呼ばれた。
その後、長い歴史の中で日本中にある規模が大きな神社も「大きな社」と書いて「大社(たいしゃ)」と名付けるようになった。これらの神社が「大社(おおやしろ)」と名乗らなかった理由としては、出雲大社の存在があまりに大きく、敬意を表したためと考えられている。
「出雲大社(いづもたいしゃ)」の読み方が一般的なのは、大社(たいしゃ)と呼ばれる神社が全国に増えたことが理由として挙げられる。また、アメリカ・ハワイ州ホノルルには日本からの移民によって1906年(明治39年)に創祀された「ハワイ出雲大社」がある。この神社は島根県の出雲大社の分社であり、「ハワイいづもたいしゃ」と読む。
2019/11/11
カテゴリー「歴史・文化」