スーパーの安さの秘密と工夫とは

コンビニよりも安くて家計を支える強い味方のスーパーマーケット。また、豊富な品揃えがスーパーの魅力でもある。

スーパーマーケット

そんなスーパーの安さの秘密は、一つ一つの商品は儲けが少ないが、たくさんの商品を販売することで儲けを生み出している。そのため、お客さんに一つでも多くの商品を手に取ってもらえるように様々な工夫がされている。

スーパーの入り口には必ずと言っていいほど、「野菜・果物の売り場」がある。色鮮やかな野菜や果物は季節感や鮮度を伝えることができ、お客さんの気分を高揚させ、購買意欲を高める効果がある。

中でもトマトやリンゴなどの赤色は色彩心理学では、欲望を刺激する「購買色」と言われている。そのため、「セール」や「安売り」などの貼り紙も赤色をしている。これはインターネット通販のWebサイトの配色でも同じで、赤色が効果的に使用されている。

また、スーパーの売り場は「野菜・果物」→「肉」→「魚」→「惣菜」の順になっていることが多い。これは日々の献立に欠かせないものを、買いやすいように順に並べているためである。

その中にある商品レイアウトの工夫として、例えば、肉売り場には肉以外にも焼き肉のタレや調味料を置くなど、「ついで買い」を狙った商品の配置になっている。これは献立を決めずに買い物に来るお客さんが意外と多いためで、その割合は約6割とも言われている。そこで、スーパーは商品レイアウトやレシピのカード・動画などでお客さんに献立を提案している。

次に、お客さんに多くの商品を見てもらうための工夫が「磁石売り場」(マグネット売り場)と呼ばれる売り場である。これはお客さんを磁石のように引き寄せる売り場のことで、人気商品や特売品、広告掲載商品などが置かれている。この磁石売り場は商品棚の角に置かれることが多く、各商品棚の奥までお客さんを誘導する効果が期待できる。

店内を歩き回れば滞在時間が延びる。スーパーマーケット業界では、滞在時間が6分延びるとお客さんの使う金額は1.2倍になると言われている。

磁石売り場に置かれる商品としては、料理に欠かせない「たまご」や「キャノーラ油」などが挙げられる。特に「たまご」はキャスター付きのラックに置かれ、自由に動かせることが多い。これにより、あまり売れていない売り場にお客さんを誘導することもできる。

ただし、これらの商品は店にとっては赤字覚悟で、原価より売値のほうが安い場合も多い。それでも、お客さんが他の商品を買ってくれれば儲けにつながるという考え方である。

そんな中、1999年にスーパーの儲けも大きく、高いマグネット効果も期待できる食品が登場した。その大人気の食品とは「焼きいも」である。スーパーで焼きいもが販売されるようになったのは、「電気式焼きいも機」が開発されたためである。

焼きいも機

1999年までは「ガス式焼きいも機」が主流だったが、火を扱うガス式の焼きいも機は消防法により店内には設置できなかった。

千葉県東金市にある小野食品機械は、東京・駒込のスーパーから店内で焼ける焼きいも機を作れないかと相談を受け、電気式の焼きいも機が開発された。これにより店内で焼きいもを販売できるようになり、他の商品の売り上げアップにもつながっている。

リンク小野食品機械

2019/12/4

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カテゴリー「生活・科学

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