スピーカーで色んな音が出せる理由

音楽をCDで聴く時などに使用する「スピーカー」は、1つのスピーカーで色んな音を出すことができる。

スピーカー

目の前でオーケストラの生演奏を聴いている時、バイオリンやホルン、クラリネット、トランペット、フルート、シンバルの音はそれぞれの楽器から出ている。このオーケストラの演奏をCDで聴く時、その音はスピーカーから聞こえる。

オーケストラ

生演奏の場合はそれぞれの楽器から音が出て、スピーカーの場合は全ての音が同時に1ヵ所から音が出る。1つのスピーカーで色んな音が同時に出せるのは何故なのか。

音とスピーカーの仕組みについて確認してみる。そもそも人が聞こえる音とは耳が感じる空気の振動である。人に音が聞こえるということは、空気の振動が耳に伝わったことを意味する。

あらゆる音には固有の振動があり、全ての音は1つの波形で表すことができる。バイオリンやトランペット、フルート、太鼓、人の声など、それぞれの音は、その音の大きさや高さなどの違いによって固有の波形を持つ。

また、2つ以上の音が同時に聞こえる場合でも、波形にすると1つになる。同時に聞こえる音は、1つの波形であり、1つの音であることを意味する。これは多くの楽器で演奏されるオーケストラの音でも同じで、多くの音が重なっても、互いが影響し合った1つの波形で表すことができる。

逆に言えば、この波形通りに空気を振動させることができれば、複雑な音でも再現することができる。それをしているのが「スピーカー」である。スピーカーが波形通りに空気を振動させ、オーケストラの音を再現している。

スピーカーの内部構造
スピーカーの内部構造

スピーカーの内部にはドーナツ型の磁石とコイル、振動板のコーン紙と呼ばれるくぼんだ円錐形の紙が入っている。音の波形を電流の量と方向、つまり電気の流れで再現し、コイルに流すと磁石と反応し、波形通りに振動し、コーン紙を伝わって空気の振動が生まれる。これがスピーカーが音を出す仕組みである。

スピーカーはどんなに複雑な音の波形でも、空気の振動として再現できる。このスピーカーから出る1つの波形=1つの音を、人は耳で聞き分けている。

耳の構造
耳の構造

音=空気の振動は耳の外側の外耳(がいじ)から中耳(ちゅうじ)の鼓膜を通り、耳の内側の内耳(ないじ)の蝸牛(かぎゅう)というカタツムリのような螺旋(らせん)状をした器官へ入る。その蝸牛の渦巻きの中には音を認識する有毛細胞という細かい毛を持つ細胞がたくさんある。この毛は感覚毛と呼ばれる。

音の高さ=周波数に反応するセンサーは、内(ない)有毛細胞と呼ばれ、音の高さにより蝸牛の中のそれぞれ異なる位置で刺激される。その刺激がそれぞれの音を別々の電気信号として脳に伝え、人は音を認識することができる。

スピーカーからは1つの音しか出ていないが、その音を耳がそれぞれの音に分解することで、人には色んな音が同時に出ているように聞こえる。

スピーカーは1つの波形を振動として再現し、音を出す装置である。そのスピーカーの原理を形にし、スピーカーの基となる蓄音機を発明したのが、アメリカの偉大な発明家トーマス・エジソン(Thomas Edison、1847~1931年)である。

リンクWikipedia厚生労働省東京医科歯科大学

2019/12/20

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カテゴリー「生活・科学

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