「ヒートテック」が暖かい理由

インナーを中心とした保温性に優れた「暖かい衣類」の市場規模は、国内だけで約130億円以上とも言われており、その市場規模は拡大している。

ヒートテック

ユニクロの「ヒートテック」に代表されるような暖かい衣類に用いられる繊維を「吸湿発熱繊維」という。この繊維を利用したインナー業界は、日本では2003年にユニクロが「ヒートテック」を発売したことをきっかけにブームとなり、その市場が一気に拡大した。

そして、ヒートテックの2017年までの累計売り上げ枚数は約10億枚にも上る。ヒートテックは海外でも大変人気があり、国内外でその売り上げを年々伸ばし、約10年の間で売り上げは初年度の約80倍にもなっている。

ヒートテックが暖かい理由は、その素材に使われている発熱するハイテク繊維のおかげである。化学技術で保温機能をより高めることで、生地そのものが熱を生み出す。これは日本で誕生した技術であり、インナーの歴史を大きく変えた。

繊維が発熱する仕組みについてだが、人間は何もしなくても1日約800mlの水分を水蒸気として身体から放出している。ヒートテックなどの暖かいインナーはこの水蒸気の運動エネルギーを利用している。

簡単に説明すると、身体から出た水蒸気は肌とインナー生地の間を激しく動き回っているが、ヒートテックのハイテク繊維が水蒸気を捕まえる。水蒸気には物体にくっつき動けなくなると熱を発して、液体の水に変わるという性質があり、その熱を利用して生地を暖めている。

あのヒートテックの薄い生地の中で、水蒸気の「吸湿」や「発熱」という現象が起きている。そのため、この繊維は「吸湿発熱繊維」と呼ばれる。ヒートテックはユニクロと繊維メーカーの東レが共同で開発した商品である。その他にも、東洋紡の「モイスケア」、ミズノの「ブレスサーモ」などの商品がある。

これらの吸湿発熱繊維のインナーを着用する時の注意点として、素肌に着ることが挙げられる。吸湿発熱繊維が身体から出る水蒸気を熱に変えるため、別のインナーを内側に着てしまうとそのインナーが水蒸気を吸収してしまい、吸湿発熱繊維の発熱効果が減少してしまう。

また、吸湿発熱繊維のインナーを選ぶ時、大きめのサイズは避ける方がよい。大きいサイズだと肌とインナーの間に空間が出来てしまい、繊維が水蒸気を捕まえにくくなり、発熱効果が減少してしまう。ぴったりとしてインナーの生地が肌に触れるサイズがベストである。

リンクユニクロ東洋紡ミズノWikipedia

2020/1/12

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カテゴリー「生活・科学

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