「鍾乳洞(しょうにゅうどう)」は「石灰洞(せっかいどう)」とも呼ばれ、日本の各地に存在する「石灰岩の洞窟」である。
上の画像は、沖縄本島の約400km東方に位置する南大東島にある「星野洞」という鍾乳洞である。島には100を超える鍾乳洞があると言われているが、その中でも特に大きく美しい鍾乳洞である。星野洞の一帯が星野さんの土地であったことから、星野洞という名前が付けられた。
鍾乳洞は、この画像のようにつららのようなトゲトゲした「鍾乳石」と呼ばれる石で出来た洞窟で、その鍾乳洞のもとになっているのが「石灰岩」という石である。石灰岩には二つの大きな特徴がある。
一つ目の特徴は、石の表面に穴や隙間があり、水が入りやすい構造をしていることである。二つ目は、酸に溶けやすい性質を持つことである。これらの特徴は鍾乳洞をつくる上でとても大事なものとなる。
鍾乳洞の材料となる石灰岩は、サンゴや貝といった生き物の死体に含まれる「炭酸カルシウム」で出来ている。魚などの死体は腐敗してなくなるが、炭酸カルシウムは腐敗したり、海水に溶けたりすることなく、どんどん積み重なり、石灰岩の地層が出来る。
この石灰岩の地層が地殻変動などにより隆起し、地表に現れる。地表に露出した石灰岩は雨にさらされる。雨は空気中の二酸化炭素が溶けてわずかに酸性である。そのため、石灰岩の表面にある穴から酸性の雨が内部を溶かしながら浸透していく。
そして、地層の変わり目などにより水が下方向に浸透できなくなると、横方向に水が浸透していく。その辺り一帯の石灰岩が溶かされることで、大きな空洞が出来る。この石灰岩の空洞こそが鍾乳洞である。つまり、鍾乳洞とは、生き物の死体が積み重なって出来た石灰岩が、雨水や地下水に溶かされて生まれた大きな穴のことである。
また、トゲトゲの鍾乳石は、鍾乳洞の上の方で溶けた石灰岩の成分が再び固まって出来たものである。鍾乳石が1cm成長するのに100年以上かかるとも言われ、鍾乳石が出来るまでには何千・何万年という長い年月がかかる。
ちなみに、水や風により岩石や地層が削られることを学術的に「侵食」と表現する。一般的には「浸食」と表記する場合もある。また、侵食の一種で石灰岩が水によって溶解することを「溶食」という。
2020/1/29
カテゴリー「地理・地名」