イギリスのエリザベス女王の誕生日は、4月21日と6月第2土曜日の年に2回ある。これにはイギリス王室の歴史と関係がある。
エリザベス女王(エリザベス2世、Elizabeth II)は、1926年(大正15年)4月21日、父方の祖父ジョージ5世国王治世下のイギリス、ロンドンのメイフェアで、ヨーク公アルバート王子とエリザベス同妃の第1子・長女として誕生した。2020年(令和2年)2月現在、93歳である。
このように実際の女王の誕生日は4月21日である。では何故6月にも誕生日があるのか。その歴史は17世紀までさかのぼり、1683年11月9日に誕生したイギリス王ジョージ2世(George II)に関係している。
ジョージ2世の誕生日は冬の11月であり、その季節はイギリスでは天候が荒れることが多く、冬の寒い日に誕生を祝うパレードを実施するのは大変だという理由から、気候の良い6月に公式の誕生日が設定された。
それが長い間ずっと受け継がれていて、現在でも誕生日を祝うパレードなどの公式行事は6月第2土曜日に実施されている。そのため、エリザベス女王の誕生日は4月21日と6月第2土曜日の年2回ある。ちなみに、2020年の6月第2土曜日は6月13日である。
6月の公式誕生日には毎年盛大な記念セレモニーが開催される。その際に実施される記念の軍事パレードは「トゥルーピング・ザ・カラー(Trooping the Colour)」と呼ばれる。
その名前は軍旗の色を意味する「カラー」を見せながら行進することに由来する。日本語では「軍旗敬礼分列式」などと表記される。このパレードは上記のジョージ2世が最初に行ったとされる1748年から実施されており、イギリスで最も壮大かつ伝統あるパレードである。
2020/2/17
カテゴリー「歴史・文化」