ウィーン・フィル伝統の音と日本の技術

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の伝統の音を守った日本の技術がある。それは14年にわたる研究者の執念が生み出したものである。

トランペット

オーストリア・ウィーンに本拠を置くウィーン・フィルは1842年に創立した。彼らの使うトランペットなどの金管楽器は「銘器」と言われる古い楽器で、伝統的に受け継いで演奏してきた。その奏でる音色も独特なものだった。

しかし、金管楽器は摩耗が激しく、新しい楽器を導入する必要に迫られていた。その伝統の音色の再現を依頼されたのが日本の楽器メーカー「ヤマハ」である。

1973年、当時の最新の技術を使って楽器を製造したが、ウィーン・フィルの音を再現できなかった。そこで、実際の楽器の素材を分析してみたところ、通常の楽器に使われている銅と亜鉛の合金である黄銅や丹銅以外に、鉄や鉛、ニッケルなど1%に満たない不純物が含まれていることが判明した。

通常使われない不純物の配合は困難を極め、試行錯誤を繰り返すことなんと14年。100本以上もの試作品を経て、ついに不純物を含む楽器が完成した。ヤマハはあえて不純物を混ぜることで、伝統の音を奏でる楽器を製造することに成功した。伝統の音を守った功績にヤマハにはウィーン・フィルやウィーン市から感謝状が贈られた。

リンクヤマハWikipedia

2020/3/24

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カテゴリー「歴史・文化

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