家庭から毎日出るゴミだが、各自治体において行われるゴミの収集にはいくつかの困った問題が発生する。
例えば、ゴミ収集車が朝にゴミを回収すると、細い路地などで車の渋滞を引き起こしてしまう。また、生ゴミは時間が経つと、どうしても臭いニオイを発生させる。更に、ゴミ置き場では頭のいいカラスが餌を求めてゴミを食い荒らすという問題も起きる。
これらの問題は全国の多くの自治体で発生しており、周辺住民は嫌な思いをし、管理する自治体も頭を悩ませている。ゴミに網をかぶせても、カラスに食い破られたり、隙間を狙われたりして突破される。
そんな中で、これらのゴミ問題を解決した街があり、それが福岡県福岡市である。福岡市民の家庭ゴミの収集に関するアンケートでは、福岡市民の98%が「ゴミ収集に満足」と回答している。
そんな福岡市のゴミ収集の方法が「深夜にゴミを回収する」というものである。福岡市の公式サイトを確認してみると、ゴミを出す時間の欄には「夜間に収集しますので、決められた日の日没から(暗くなってから)夜12時までに出してください」と明記されている。
福岡市民はこれに従い、日が暮れてからゴミを出すのが当たり前の習慣になっている。そして、日付が変わった夜12時過ぎにゴミの収集が開始され、夜明け前にはゴミの収集が完了している。このゴミ収集は福岡市で昔から実施されており、1961年(昭和36年)に渋滞防止のために開始された。
夜が明けた頃にはゴミの収集が完了しているため、上で挙げた車の渋滞、臭いニオイ、カラスの3つの問題は福岡市ではほぼ発生せず、深夜のゴミ収集は福岡市民から高い評価を得ている。また、夜のゴミ収集は夜間に1人で外を歩く女性が安心できるというメリットもある。
2020/5/15
カテゴリー「生活・科学」