ロボット掃除機「ルンバ」の歴史

現在、家庭用のロボット掃除機として有名な「ルンバ(Roomba)」を開発・販売しているのはアメリカのアイロボット社(iRobot)である。

ルンバ

アイロボット社は、マサチューセッツ工科大学(MIT)のロボット学者たちにより、1990年(平成2年)に創設された。その会社の目的は、人間の代わりに働く「自律型ロボット」を創造することだった。現在の家庭用ロボット「ルンバ」の歴史をたどると、そのルーツは宇宙開発用や軍事用ロボットである。

1991年(平成3年)に同社初のロボット「ジンギス(Genghis)」が開発された。ジンギスは、当時NASA(アメリカ航空宇宙局)が進めていた火星探査計画における探査機として開発され、昆虫のように6本の足があるのが特徴である。その自律歩行ロボットの機動性と知的プログラムはその後のロボットの基礎となっている。

1996年(平成8年)には「アリエル(Ariel)」という水際にある地雷を探査・除去するためのロボットが開発された。そのロボットは水陸両用で、ジンギスと同様に6本の足があり、その足にある金属センサーで地雷を探すという機能があった。そして、それが地雷であれば地面に埋め込んで爆発させることができた。

また、地雷を探査するアリエルには、同じ場所を何度も行き来して地雷の見落としを防ぐ人工知能が搭載された。それが後のルンバの人工知能へと受け継がれている。このように宇宙開発用や軍事用のロボットを元にして、2002年(平成14年)に家庭の部屋を掃除するロボット「ルンバ」が誕生した。

なお、紹介したこれらのロボット以外にも、2000年(平成12年)に階段を昇降できる多目的作業ロボット「パックボット(PackBot)」などが開発されている。このパックボットというロボットは、2001年(平成13年)のアメリカ同時多発テロで崩壊した世界貿易センタービルの瓦礫(がれき)の中での捜索活動や、2011年(平成23年)の東日本大震災で発生した福島第一原発事故において、原子炉建屋内の様子の撮影や、温度・湿度・酸素濃度の測定を行うなど、人間にとって危険な作業を代わりに請け負ってくれた。

また、「ル(6)ン(0)バ(8)」と読む語呂合わせから6月8日は「ルンバの日」という記念日になっている。

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2020/6/11

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カテゴリー「生活・科学

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