子どもは家具などにシールをペタペタ貼るのが好きだが、そのきっかけは1963年(昭和38年)の「鉄腕アトム」のシールであった。
同1963年(昭和38年)1月1日から『鉄腕アトム』のテレビ放映が開始されたが、そのスポンサーであった明治製菓(現:明治)が鉄腕アトムのシールが入った「マーブルチョコレート」を販売した。その他にも、そのマーブルチョコレートの蓋(ふた)が応募券になっていて、蓋2個と鉄腕アトムのシールを交換できたという情報もある。
そんなマーブルチョコレートとキャラクターシールは当時の子ども達に大人気となった。鉄腕アトムのプレゼントシールのキャンペーンにより、担当郵便局の能力がパンクしたという逸話も残っている。
その後、各メーカーがお菓子のおまけとして人気のキャラクターシールを採用した。この思い出のキャラクターシールは世代により異なり、エイトマンやパティ&ジミー、パーマン、ピンク・レディー、キキララ、ビックリマン、ポケモンなどがある。
ちなみに、子どもがシールをペタペタ貼るのは「達成感が得られるから」だという。子どもがシールに興味を持ち始めるのは1歳を過ぎた頃からで、この時期は「感覚運動期」と呼ばれる。
感覚運動期とは、1歳から2歳頃に手などの感覚を通して、周りの状況を理解しようとする時期である。例えば、ティッシュを何枚も出して物を取り出す感触を知る。シールに興味を持つのもこの頃で、ベタベタするシールを感覚的におもしろがる。
そして、シールを認識するのは2歳過ぎ頃からで、シールの見た目に興味を持ち始めるのは、自我が芽生え始める3歳頃からである。この頃には自分が好きな物を見つけ、表現することに夢中になる。色々な形や色があるシールを貼ることで、自分の好みを表現している。
また、この時期は子どもの指先がまだ不器用で、挑戦してもうまくいかないことが多い。クレヨンで絵を描こうとしたり、積み木を組み立てようとしたりするがうまくいかない。
そんな中でシールははがして貼るだけであり、簡単に結果を出すことができ、達成感を得やすく夢中になりやすい。そのため、同じような場所にペタペタと繰り返してシールを貼るという行為になる。好奇心旺盛な時期であり、シールを貼るという行為は子どもの成長過程において重要な役割を担っている。
2020/8/16
カテゴリー「生活・科学」